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監督/大久保愉伊

岩手県大槌町出身。 映像作家。成城大学芸術学科に入学後、 映画研究部に所属し映画を作り始める。
東日本大震災の被災地である故郷を記録した『槌音』(11)は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011やキューバ新人監督映画祭などで
上映され、 日本映画復興会議奨励賞を受賞。 同じく故郷を記録した『ちかくてとおい』(15) は山形国際ドキュメンタリー映画祭
2015、 ニッポンコネクション2016(ドイツ・フランクフルト)で上映された。 以後も故郷を記録し続けている。

 

構成/高橋知由

1985年生まれ。日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。
大学在学中からシナリオを学び、卒業後は自主制作映画にスタッフとして参加する一方、
ホラー系OVやウェブ配信ドラマなどのシナリオを書く。主な脚本作に『不気味なものの肌に触れる』(監督:濱口竜介)、

『螺旋銀河』(監督/共同脚本:草野なつか)など。また、映画監督の濱口竜介・野原位と結成した脚本ユニット「はたのこうぼう」のメンバー。
はたのこうぼう名義の脚本作品として『ハッピーアワー』(監督:濱口竜介)がある。

 

音楽/大久保正人

岩手県大槌町出身。作曲家、尺八奏者、ギター奏者。1980年「姫神せんせいしょん」のギターリストとして活躍する。
解散後も岩手や大槌の芸能や文化を取り入れた楽曲を多く発表し、第8回国民文化祭(文化庁主催)のグランドフィナーレ「岩手の四季」の音楽を担当。

ドキュメンタリー映画やアニメーションの音楽も手がけ、主な作品に『ナブラ』(監督/黒田輝彦)、『リトルチャロ~東北編~』(NHK)などがある。

監督の大久保愉伊の父。

 

 

クレジット

監督/撮影/テキスト/編集/ナレーション/大久保愉伊  構成/高橋知由  音楽/大久保正人
撮影補/西川尚志、高橋知由、小森はるか  MA/音楽収録/吉田俊光 助成/GBFund    製作/宣伝/配給/Revolving-Lantern


監督メッセージ

 

13年12月、姪が産まれました。
震災により大きな喪失を感じていた私にとって、彼女が生まれたことは、震災後最も嬉しい出来事の一つでした。
小さな手足をばたつかせたり、ぐっすり眠る姪の姿。
そんな姪の姿を見ながら、故郷大槌で生きる人々の言葉を思い出していました。
漁師さん、市民農園を運営する方、海を豊かにするために山を手入れする林業の方。
私が12年にこの方々にインタビューをした際、みな口を合わせたように、「子供達のために」と話をしてくれました。

当時、私は頭では理解していたつもりでしたが、姪が生まれたことにより、この言葉が実感に変わりました。
かつて町があった場所は、土に覆われ、地層の一部になる。
その地層にあった風景を、新しい町に立つ彼女に伝えることはできないだろうか?
自分自身のために撮りためてきた大槌の風景を、彼女に渡すことはできないだろうか?

そのような個人的な想いが『ちかくてとおい』を作るきっかけになりました。
理解させるのではなく、感じ取ってもらうものを。
彼女の足元にある風景を想像出来る地図のようなものを。
その趣旨に賛同してくれたスタッフに支えられながら本作を作りました。
この映画に出てくる風景は、決して強度のあるものではない、脆弱な風景の記録であると自覚しています。
けれどそれでも伝え残したい、町の記録、町の記憶があります。
大槌のことを知らない方々にも、何か一つでも感じ取ってもらえたら、
そしてこれからできるであろう風景を「今」と照らしながら想像していただけましたら幸いです。

 

大久保愉伊